『修道士カドフェル』、ミステリー

 エリス・ピーターズ(Ellis Peters, 1913 - 1995)のミステリー代表作。ベネディクト会修道士が「探偵」として活躍する人気の推理小説シリーズ(全20篇、番外篇1)である。日本語版のシリーズは社会思想社の教養文庫として出版された(社会思想社は2007年7月に倒産し、シリーズは光文社に引き継がれ2003年から再出版されている)。
 『カドフェル』は1140年代のイングランドが舞台、当時王位継承をめぐって内乱状態にあり、内乱の張本人スティーブンが崩御しプランタジュネットのヘンリーがイングランド王になることでやっと収束に至った波乱の時代であった。大陸ではフランス王国のルイ七世が数年前にアリエノール(後のヘンリー二世妃)と結婚しアキテーヌの広大な領土をフランス王国に編入し、1144年には修道院長スゲリウスによりサン・ドニのベネディクト会修道院に最初のゴシック聖堂が姿を現した。ドイツではシュタウフェン朝(神聖)ローマ帝国の時代、ケルンではカタリ派異端の最初の記録が残されていた。それぞれの統治者は数年後、揃って第二回十字軍に参加することになる。
 文庫3冊あればちょうどヨーロッパ行きの飛行機の中で読み切れる分量なのでたいへん重宝した。



全篇に共通すること

『カドフェル・シリーズ』
16 異端の徒弟 The heretic's apprentic 1989
19 聖なる泥棒 The holy thief 1992


     

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