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昔の教会は単純な大きな形の中に人間を包み込みますが、しかし精神は高い穹窿のなかで再び広がり高まることが出来ます。しかも大自然のなかでのように無限のなかに没し去ることがありません。
スイスへの途上シュパイアー大聖堂を訪れた(9月24日)ことを伝えるゲーテの書簡 「ロマネスク」の名称はノルマンディの美術史家ド・ジェルヴィルの1818年12月付書簡が初出で、ノルマンディ地方の教会について次のように書いている。「この重苦しくて粗雑な建築が、われわれの粗野な祖先たちが変質させた、ないし次第に堕落させた『ローマ人の建築』Opus Romanumであることに異論はない」(フォション『ロマネスク』上、p64、神沢栄三他訳、鹿島出版会)。ゲーテが約40年前既にロマネスク建築の本質を見抜いたのとは対照的である。 |