マイエンフェルト、ハイジの里

 『ハイジ』のスイスでの舞台はグラウビュンデン州マイエンフェルト、スイス最古の司教座があるクール近郊である。小説が登場したのは1881年。同じ年の八月、同州の南にあるサン・モリッツ近郊のシルス湖で一つの思想が生まれた。「永遠回帰。一切の来るべきものにとってのわれわれの知・・・海抜六千フィートの高さで、そしてあらゆる人間的事物から離れることさらに遠く!」。ニーチェは偶然見つけたこの村に滞在し、『ツァラトゥストラ』の重要な着想を得た。『ハイジ』と『ツァラトゥストラ』、内容はもちろん全く異なるがどちらも高山の冷気が感じられる。
 マイエンフェルトを訪れたのはクールに滞在した10月の紅葉と葡萄の香る時期の午後、観光シーズンは終わったものの最高の天候であった。ハイジゆかりの場所をまわるハイキングコースが整備され、初心者向きの「赤のコース」と中級向きの「青のコース」があり時間の関係で「赤のコース」を辿った。


「赤のコース」を歩き出して間もなく現れた収穫を待つばかりの葡萄、町中香りがたちこめる。


次いで牧場の中に入る。落ち葉の絨毯を歩くにはたいへん快い。


牧場を抜けると「ハイジの泉」に出る。世界中の子供の寄付によって作られた。


「泉」から「ハイジの家」までは登り道、レストランを過ぎるとやがて「ハイジの家」が見えてくる。


「ハイジの家」内部、パンと豆類の質素な食事。


屋根裏のハイジの部屋、窓は小さいが光が溢れて明るい。


ハイジの家を去る(左にヴィジターセンターがある)。


再び葡萄畑、背景は当然ながらアルプス


そして出発点に戻ったのは3時間後


間もなく陽は山の向こうに沈んでいく

 ハイジのもう一つの舞台はフランクフルト・アム・マイン、もう一人の主人公クララの住む大都会である。1881年という年代から町の名門であるクララの祖母はゲーテの家族を知っていたのかもしれない。意外とご先祖はゲーテから恋愛詩を捧げられていたりして・・・と思いながらの道行き、途中のレストランで食べたアイスクリームや(ちょっとつまみ食いした)葡萄の味覚が今も記憶に残っている。

Hochwald Holzweg
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