Huy, Liege, Belgium.

28. Jan. 1999.


ユイ

 ナミュールからリエージュ方面にマース川に沿って鉄道で約20分(リエージュからは30分)、ルニエ・ド・ユイの出身地であり、聖堂のステンドグラスが素晴らしいというのでリエージュへ向かう途中ユイに立ち寄ることにした。駅は山の中腹にあり、聖堂をはじめとする町の中心部は少し離れた対岸に集中している。背後の山には要塞も見える。


ノートルダム教会聖堂
Eglise Notre-Dame


 マース(ミューズ)川の対岸がユイ(現地では「ウイ」と発音)の中心部。14世紀のレヨナンから15世紀のフランボワイアンゴシックが混在している。厳めしい感じを与える建築。外壁が暗い石であるのもこの印象を強めている。塔は聖堂の両端にあり、このあたりでは珍しい。西の塔は修復のため覆われているけれどもがっちりとした感じであるのがよくわかる。


聖堂内部

 ミューズ河畔の消失したロマネスク聖堂は全て調査により概要が判明しているという。今世紀になってこの聖堂の地下からロマネスク時代のクリュプタが発見された。内部へは入ることが出来なかったけれども、展示されていた写真をみるとなかなか美しいクリュプタであった。クリュプタの規模からみて(ヴォルムスの「帝国大聖堂」よりは広そう)、ロマネスク時代の聖堂がどれだけであったかたいへん興味深いことに思う。ゴシック時代に改築されたとき、埋もれてそのまま忘れ去られたのであろうか。このためなのか、クリュプタの位置は中央の西寄り、北側で変則的である(普通は内陣の直下)。現在の聖堂にはロマネスクの要素は見当たらない。幅が狭いので普通以上に垂直感が強い。天井のリブは末期ゴシック風。また天井のアラベスク風装飾は16世紀ルネサンス時代のもの。聖堂内のあちこちに14世紀以降の彫刻、墓石彫刻などがおいてあった。
 東側内陣のステンドグラスは全長が20mあり、1944年の制作である。直後にアルデンヌの攻勢があっただけに大変なときであった。古い聖堂であっても現代の作家が活躍出来るような環境が提供可能(しかも前世紀のように「ゴシック風に」という要求をされて各地−トゥルネィさえ−にあるゴシックもどきにならないところが良い)であるところが日本と違う点である。

西側薔薇窓は直径9m、ベルギーで最も大きく美しい。ステンドグラスは東側内陣と同じく現代のもの。

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