Lissewege, West-Vlaanderen, Belgium.

 リッスヴェーグはブルージュから鉄道で10分くらい、オストエンドやゼーブリュージュに行く途中にある。ブルージュ駅から1時間に1本。運河沿いであることもあって海の雰囲気を感じる。この日のプランはピクニック気分でリッスヴェーグ駅から1本道をまっすぐ聖母教会に行き、そこから約2キロ離れた修道院廃墟へ向かう予定であった。


O. L. Vrouwebasieliek.
リッスヴェーグの聖母教会

聖堂外観(左:Lissewegeの町並から、右:北東から墓地に囲まれて)

 13世紀に建てられた初期ゴシックの聖堂。トゥルネィを除くと北方ヨーロッパには石材がないの煉瓦で建てられている。よくみると小アプシスなどにロマネスク部分も多少ある。塔は50メートルの高さで中断していて、本来ならブルージュの聖母教会のような大きな塔にする予定であったのではないかと思える。過去にはブリュージュと海の中継地点として重要な場所であった。上のアーチ部分には良く見ると通路がある。
 聖堂の中に入る。左画像はアプシスから身廊・入口側。初期ロマネスクのような木製平天井である。本来ならヴォールト天井になっていたと思われ、これも予算不足のせいか。右は東内陣側、アーチがつくる4層構成は北フランスの初期ゴシック様式の影響で、ランのノートル・ダムの設計に現れたのが先にトゥルネィのノートル・ダム大聖堂で実現し、この聖堂をはじめとするフランドル地方の初期ゴシック聖堂を経てドイツへ波及していく(リンブルク大聖堂)。内陣部分は小規模ながらノートル・ダム大聖堂の袖廊によく似ている。聖堂内部の4層構成は明窓が小さくなるため暗くなってしまうのと採光を兼ねて全面ステンドグラスにすることが多くなってきたため、次第に使われなくなっていく。田舎の小さな聖堂の割に重要な作例であるけれども日本のガイドブックはもちろん、ミシュランのガイドもこの点に関して触れていないのが残念である。
 アプシス(下)のステンドグラスは全て現代のもの。聖堂の西側入口には現代作家による彫刻作品がいくつか置かれていた。青みがかった柱はトゥルネィ産の石材を使用しているものと思われ壁を構成する煉瓦の赤茶色に程良いアクセントを付加している。床の装飾タイルはおしゃれでこの地方の聖堂ではちょっと珍しいモティーフである。




お天気も良く、聖母教会から運河沿いの道をTer Doest(約2キロの道のり)へと向かう。

ここまで教会のカリヨンの音が聴こえる。ブルージュのそれと比べると軽く楽しげな音色



Ter Doestテル・ドエスト(シトー会修道院廃墟)



 聖母教会から約2キロブルージュ方向に歩いていくとかつてのシトー会修道院の廃墟がある。お昼時にこの距離を歩き、おいしいものを頂きたくなる頃に絶妙なタイミングで目的地に到着。ここのレストランはご近所でも有名な所だそうである。遺構を見る前にお昼を頂く。
 修道院廃墟は当時の建物のうち納屋(14世紀)のみがのこり、ロマネスクの数少ない世俗建築の一つ。今でも同じ目的で使用されている。中に入ると奥の方に牛がいた。先にお昼を頂いたのが失敗でデザートを食べる頃には先ほどまでのお天気はどこかに行き、既に雨が降り始めてきた。向かい側の建物から雨宿りしながらの撮影。Photo date: 8. Sep. 1998.



Ter Doestから:中央が先ほどまでいたリッスヴェーグの聖母教会。



雨が激しくなる中再び戻らなければならない...


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