モディリオン

 西洋建築で軒下にあり屋根を支える突起物がモディリオンで既にギリシアやローマ建築にも使われていた。当初のモディリオンは純粋な構造部品であったため無装飾かごく簡単な幾何学装飾が施されているだけであった。このモディリオンを創作の場としたのはロマネスク時代の石工たちの功績であり彼らの表現の場として様々な動植物や怪物、果ては器物までが現れるようになる。視覚的メッセージの媒体として柱頭彫刻と似たような役割を負っているように思われるが、柱頭彫刻では聖書の主題が多く登場するのに対してモディリオンにはこうした主題が皆無であり、大半が世俗的なモティーフであり、柱頭には決して登場しない性器を露わにした男女が登場するのもこれらモディリオンであった。
 小さな聖堂はともかく、大きな聖堂の軒下は見るには遠すぎることが多く全てのモディリオンが必ずしも見られることを目的としていないようである。おそらくは信者の奉納品(巡礼中に泊まった宿代の代わりであったかもしれない)または護符だったと思われる。ゴシック時代に入ると更に軒が遠くなり、モディリオンたちに代わってガルグィユが住み着くようになる。

正しいモディリオン

テキサス州議事堂、オースティン

ロマネスク聖堂のモディリオンたち

ノートル・ダム大聖堂、レスカール

聖堂を見上げるとモディリオンたちがこんなふうに見下ろしていることに気が付く
サン・クロワ教会、ボルドー サン・ピエール旧修道院、モワサック

サン・セルナン教会「ミエジュヴィルの門」、トゥルーズ サン・ジェルトルード教会、ニーヴェル



サン・ピエール・エ・サン・ポール旧修道院、ボーリュウ・シュール・ドルドーニュ、上の左から三つ目と下の一つ目はいわゆる「ファルスマン」



サン・ピエール教会、オールネィ・ド・サントンジュ、ランプや樽、お皿など日用品も登場。右下はサント・フォワ教会アプシス、修道士のファルスマン。


正しいモディリオン(2)、テキサス州議事堂、オースティン

  

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