ネーデルラントロマネスク
Nederland (Belgium & Hollander) romanesque

 フェルメールの『絵画芸術の寓意』と呼ばれる作品(ヴィーン美術史美術館所蔵、修復のため非公開)のクリオを演じるモデルの背後に一枚の大きな地図が掛けられている。この地図はオランダ独立前のネーデルラントを示す地図でオランダとベルギー(当時のハプスブルク系スペイン領)に分断される以前の状態である。独立による混乱が終わり経済的に繁栄した17世紀後半であっても画家にとってはこの「低地」地方は一つだけであった。
 「ネーデルラント」は現在ではオランダの国名になっているが、少なくとも12世紀のロマネスクについては現在のベルギーとオランダ両方を含めた地域でまとめた方が良いこともある。
 その一つにムーズ(ミューズ)河畔のロマネスクがある。フランスでのロマネスクがいくつかある巡礼街道沿道毎に共通した性格があるように、ドイツやネーデルラントでは街道の代わりに川が共通項としての役割を持つ。ムーズ川はベルギー東部からオランダに入る川でナミュール、ユイ、リエージュ、マーストリヒトなどのローマ時代以来の都市を結んでいる。また、ドイツにも近いことからライン川とムーズ川の間の地域にも共通した特徴が見られる。
 一方、南西部は北でブリテン、南でフランスと接していることから両者の影響を取り入れ(更にドイツも含まれる)、しかしそれらのどれでもない独特の様式を発展させ、ついには北フランスのゴシックに大きな影響を与えることになる。
ノートル・ダム大聖堂
トゥルネィ、エノー州

Cathedrale Notre-Dame
Tournai, Hainaut

サン・ジェルトルード修道院聖堂
ニーヴェル、ワロン州

Collegiale Sainte-Gertrude
Nivelles, Wallon

ムーズ河畔の聖堂
リエージュ〜マーストリヒト

Muse romanes
Liege, Maastricht

サン・ヴァンサン修道院聖堂
ソワニー、エノー州

Collegiale Saint Vincent
Soignies, Hainaut



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